「突然のめまいに襲われ、耳が詰まったように聞こえづらい」「日常生活が不安で仕方ない」——これは、メニエール病に悩む多くの人が抱える苦しみです。耳鳴り、難聴、耳閉感、回転性の激しいめまいが発作的に現れ、しばしば繰り返すこの病は、QOL(生活の質)を著しく低下させる慢性疾患の一つです。
しかし、医療機関で治療を受けても「なかなか治らない」「薬を飲んでもすぐ再発する」と感じている人は少なくありません。今回は、メニエール病が“治らない”とされる背景を、現代医学と東洋医学の両面から読み解き、効果的な対策を探ります。
メニエール病は、内耳のリンパ液が過剰に溜まり、内耳内の圧が上昇する「内リンパ水腫」が主な原因とされています。内耳は、音を聞く「蝸牛(かぎゅう)」と、バランスを司る「三半規管」から構成されており、この微細な器官に浮腫が起きることで、聴覚や平衡感覚に異常が生じます。
現代医学では主に以下の治療が行われます:
* 利尿剤やステロイド、循環改善薬による内リンパ水腫の軽減
* めまい抑制薬や抗不安薬での症状緩和
* ビタミン剤や血流改善薬による内耳機能のサポート
* 重症例には内リンパ嚢手術や前庭神経切断術などの外科的対応
しかし、これらの治療は「発作のコントロール」や「再発予防」を目的とする対症療法が中心であり、「なぜリンパ液が溜まるのか」という根本原因には未解明の点が多く、完治に至らないケースもあります。また、ストレス・睡眠不足・ホルモンバランス・自律神経の乱れなどが引き金になることが多く、薬だけでは不十分なこともあります。
東洋医学では、メニエール病を「眩暈(げんうん)」や「耳鳴」「聾(ろう)」などの病証として扱い、その本質を“体内の水の巡り(津液)と気血のバランスの崩れ”と捉えます。特に「腎・肝・脾」の不調が関与するとされ、以下のような体質タイプが考えられます。
1. 痰濁中阻(たんだくちゅうそ)型
暴飲暴食・運動不足などで脾(消化機能)が弱り、体内に余分な湿気や痰が溜まり、それが頭部に影響してめまいや耳鳴りを引き起こすタイプです。
2. 肝陽上亢(かんようじょうこう)型
ストレスや怒りが溜まりやすく、肝の気が上に昇って頭に熱がこもることで、激しいめまいや難聴が生じるタイプ。自律神経の乱れとも関連します。
3. 腎精不足型(じんせいぶそく)
加齢や慢性疲労により腎の機能が低下し、耳や脳を養う精気が不足することで、耳鳴りや眩暈、疲労感を伴うタイプ。高齢者や慢性疾患持ちに多く見られます。
東洋医学では、根本体質を見極めた上で、鍼灸や漢方、生活習慣指導を通じて「全体を整える」ことを重視します。
鍼灸治療では、「百会(ひゃくえ)」「風池(ふうち)」「内関(ないかん)」「肝兪(かんゆ)」などの経穴を使い、気血水の巡りと自律神経を調整します。
漢方薬は体質に応じて処方されます。たとえば「苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)」は痰湿を取り、めまいを軽減するとされ、「釣藤散(ちょうとうさん)」は肝の高ぶりを抑えて頭部の熱を下げる働きがあります。
色彩治療では、メニエールのカラーや脳関係のカラーで緊張をほぐして循環を改善することによりメニエールの症状を改善します。
生活指導としては、冷え・過労・暴飲暴食を避け、質の良い睡眠と適度な運動を推奨します。また、「水分の摂り過ぎ」による体内湿邪の悪化にも注意が必要です。
東洋医学は「一人ひとりの体質と原因に合わせてオーダーメイドで治療を組み立てる」点が特徴であり、薬では改善しにくい慢性的な不調や再発を防ぐ上で有効です。
統合的アプローチで“治らない”から抜け出す
メニエール病の改善には、「発作時のケア」だけでなく、「なぜ繰り返すのか」という根本に向き合うことが不可欠です。現代医学の正確な診断と、急性期の迅速な対症療法は極めて重要です。一方で、体質的・環境的な背景にアプローチできる東洋医学を併用することで、根本改善と再発予防の可能性が広がります。
たとえば、急性期は現代医学の薬物療法で対応しつつ、症状が落ち着いたら鍼灸や漢方による体質改善へと移行することで、薬に頼らず安定した体調を維持することが期待できます。
おわりに
メニエール病が“治らない”と感じる背景には、原因が一つではなく複合的であること、そして目に見える病変が少ないために対処が難しいという特性があります。だからこそ、現代医学と東洋医学の知恵を組み合わせることが重要です。自分自身の身体と生活習慣を見直し、「整える力」を高めることこそが、根本的な回復への近道になるでしょう。
著作者紹介
保田宏一、1960年生
1985年東京都立大学工学部工業化学科卒業。同年凸版印刷株式会社中央研究所入社、1988年東京工業大学院総合理工学研究科電子化学専攻山崎研究室に2年間国内留学。1991年ソニー株式会社総合研究所入社。以降光ディスクの研究開発に携わりブルーレイディスクの記録膜を開発した。1999年伯父の加島春来が色彩治療を開発した。色彩治療について研究するための医学知識を得るべく花田学園日本鍼灸理療専門学校にエンジニアをしながら3年間夜学に通い、2002年鍼灸師資格取得。2014年ブルーレイディスク研究開発終了したので、色彩治療の研究をするため青山色彩鍼灸院開院、現在に至る。趣味はエレキギター演奏で自称おしゃれなフュージョンギタリスト。






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