坐骨神経痛の原因と対策

はじめに

「お尻から脚にかけてビリビリと痛む」「立っていられないほど脚がしびれる」——このような症状が続くと、日常生活や仕事にも大きな支障をきたします。これは「坐骨神経痛（ざこつしんけいつう）」と呼ばれ、現代では中高年だけでなく、デスクワークや運動不足の若年層にも増えている症状の一つです。

しかし、病院で「坐骨神経痛ですね」と言われて薬を処方されても、「一時的に良くなるがまた再発する」「手術以外の方法はないのか？」と悩む方も多いのが現状です。本稿では、坐骨神経痛が“なかなか治らない”背景を、現代医学と東洋医学の視点から整理し、根本改善につながる対策をご紹介します。

現代医学における坐骨神経痛の原因と対策

坐骨神経は、腰から足先まで走る人体で最も太く長い末梢神経です。この神経が、何らかの原因で圧迫されたり炎症を起こしたりすることで、お尻から太もも、ふくらはぎ、足先にかけて「痛み」「しびれ」「つっぱり感」「筋力低下」などが現れるのが坐骨神経痛です。

主な原因疾患：

・腰椎椎間板ヘルニア：髄核が飛び出して神経を圧迫
・腰部脊柱管狭窄症：加齢などで神経の通り道が狭くなる
・梨状筋症候群：お尻の筋肉（梨状筋）が坐骨神経を圧迫
・腰椎すべり症・分離症：骨のズレが神経を刺激
・外傷や腫瘍、糖尿病性神経障害など
現代医学の主な対策：

・薬物療法：消炎鎮痛薬、神経障害性疼痛薬、筋弛緩薬
・神経ブロック注射：一時的に痛みを和らげる
・リハビリ・理学療法：ストレッチや筋力強化
・手術：重症例ではヘルニア摘出や狭窄部除去

保存療法で回復するケースもありますが、痛みの慢性化や筋力低下、再発に悩まされる人も少なくありません。また、「画像では異常がない」と言われながらも痛みが続くケースでは、心理的ストレスや姿勢の癖など、構造以外の要因が関わっている可能性もあります。

東洋医学における坐骨神経痛のとらえ方

東洋医学では、「坐骨神経痛」という診断名はありませんが、その症状は「痺証（ひしょう）」「腰腿痛（ようたいつう）」「下肢の引きつり」などとして分類されます。

このような痛みやしびれは、単なる神経の問題ではなく、気血の巡りの停滞や冷え、体力の低下といった全身のバランスの乱れが関係していると考えられています。

主な体質タイプと原因：

1. 寒湿痺阻（かんしつひそ）型
冷えと湿気で気血の流れが滞り、神経や筋肉がこわばるタイプ。寒い日や雨の日に悪化しやすく、重だるい痛みが特徴。

2. 瘀血（おけつ）型
血の巡りが悪く、老廃物（瘀血）が神経の流れを妨げる。刺すような痛みや慢性化したしびれが特徴。

3. 肝腎不足（かんじんぶそく）型
加齢や過労で「腎精（体を支えるエネルギー）」が不足し、骨や筋肉が弱って痛みやしびれが出やすいタイプ。

4. 気血両虚型（きけつりょうきょ）
体力も血も足りず、回復力が乏しいタイプ。慢性的な倦怠感や足の冷え、脱力感を伴う。

東洋医学的な対策：流す・補う・温める

東洋医学では、身体全体の巡りと体質を整えることで、坐骨神経痛の根本的な改善を目指します。

鍼灸治療　経絡（けいらく）の流れを整え、痛みの原因である気血の滞りを解消します。よく使われるツボには「委中」「承扶」「環跳」「足三里」「腎兪」「太谿」などがあり、症状と体質に応じて施術されます。鍼による神経反射は、血流改善・鎮痛・自律神経調整にもつながります。

色彩治療　腰痛関連のカラーを使って施術を行います。様々な痛みのカラーを用います。

漢方薬　体質に応じて処方されます。たとえば：

・「独活寄生湯」：寒湿型・高齢者の慢性痛に
・「桂枝茯苓丸」：瘀血型のしびれや刺痛に
・「八味地黄丸」：腎虚による腰痛・下肢の冷えに
・「補中益気湯」：体力低下や疲れやすい人に

生活養生

・腰・下半身を冷やさないこと（腹巻・レッグウォーマーなど）
・長時間の同じ姿勢を避ける（こまめに立ち上がる・ストレッチ）
・適度な有酸素運動（ウォーキングやラジオ体操など）
・反り腰や猫背など、骨盤の歪みに注意

現代医学と東洋医学の併用が最も効果的

西洋医学は、診断技術や手術による構造的な改善に強みがあります。一方で、痛みの背景にある「冷え・体質・巡りの悪さ・自律神経の乱れ」など、全身のバランスには東洋医学が得意とする領域です。

たとえば、「MRIで原因がわかっているが手術は避けたい」「薬で一時的に良くなっても再発を繰り返す」という方は、色彩治療、鍼灸や漢方を取り入れることで、体質改善と再発予防を図ることができます。

おわりに

坐骨神経痛は、腰だけでなく全身の状態や体質が影響する慢性症状です。だからこそ、薬や手術だけに頼らず、自分の体と向き合い、根本から整える視点が大切です。

現代医学と東洋医学（色彩治療）をうまく組み合わせた「統合ケア」を取り入れることで、つらい痛みやしびれを和らげ、再発しにくい健康な体を取り戻すことができるでしょう。