自律神経失調症の原因と対策

自律神経失調症が治らない原因と対策：現代医学と東洋医学の視点から

はじめに

「原因がわからない体調不良が続く」「病院で検査しても異常なしと言われる」「心身ともに疲れているのに、うまく休めない」――このような悩みを抱える人にしばしば下されるのが「自律神経失調症」という診断です。

しかし、「薬を飲んでも良くならない」「再発を繰り返す」と感じるケースも多く、悩みは深刻です。本稿では、自律神経失調症が“治らない”理由を、現代医学と東洋医学の視点から整理し、効果的な対策を考察します。

現代医学における自律神経失調症の理解と治療

自律神経とは、交感神経と副交感神経から構成される神経系で、呼吸・心拍・血圧・消化・発汗・体温など、私たちの意思ではコントロールできない身体機能を調整しています。

このバランスが崩れると、以下のような症状が出やすくなります：

・めまい・ふらつき・動悸・息苦しさ
・慢性的な疲労・倦怠感・不眠・食欲不振
・胃腸の不調・過敏性腸症候群様の症状
・抑うつ感・不安・イライラ・集中力低下

現代医学では、自律神経失調症は「機能性疾患」とされ、明確な器質的原因（病気）がなくても不調が現れる状態として位置づけられます。代表的な原因は、ストレス・不規則な生活・睡眠不足・環境の変化・性格傾向（几帳面・完璧主義など）です。

治療としては、以下のようなアプローチが行われます：

・生活習慣の見直し（睡眠・食事・運動・休息）
・抗不安薬・抗うつ薬・自律神経調整薬の処方
・心理療法（認知行動療法など）
・呼吸法・ヨガ・マインドフルネスなどの補助療法

しかし、薬を飲んでも一時的にしか改善しなかったり、原因が曖昧なまま治療が進み、結果的に「治らない」「不安だけが増す」といったケースも少なくありません。

東洋医学における自律神経失調症のとらえ方

東洋医学には「自律神経失調症」という病名はありませんが、現れる症状を「気・血・水」の乱れや、五臓六腑（肝・心・脾・肺・腎）のバランスの崩れとしてとらえます。自律神経の不調は「肝・心・脾」の異常と関係が深く、以下のようなタイプに分類されます。

1. 肝気鬱結（かんきうっけつ）型

ストレスや怒りをため込みやすく、気が滞るタイプ。情緒不安定、胸のつかえ、ため息、月経不順などが特徴。

2. 心脾両虚（しんぴりょうきょ）型

過労や心配事が多く、気力も血も不足している状態。動悸、不眠、集中力の低下、胃腸虚弱を伴う。

3. 陰虚火旺（いんきょかおう）型

睡眠不足や慢性疲労で体の潤い（陰）が枯渇し、虚熱が生じた状態。のぼせ、不安感、寝汗、口の渇きなどが見られる。

4. 気虚型（ききょ）

体力そのものが低下している状態。朝から疲れやすく、風邪をひきやすい。根本的なエネルギー不足。

東洋医学的な対策：整える・養う・巡らせる

東洋医学では「自律神経の乱れ」という言葉は使わず、「気血の調整」「五臓のバランス」「気の巡り」を整えることが治療の目的となります。

鍼灸治療では、「内関」「百会」「神門」「太衝」「三陰交」などの経穴（ツボ）を使って、心身の緊張を解き、自律神経のバランスを整えます。週1〜2回の施術を数週間続けることで、体質改善が期待できます。
色彩治療では、脳の血液循環と自律神経のバランスを調整してさらにめまいや頭痛、耳鳴りなどの専用カラーを使って施術することにより鍼灸治療以上の効果が期待できます。
漢方薬は体質に応じて選ばれます。肝気鬱結には「加味逍遙散」、心脾両虚には「帰脾湯」、陰虚火旺には「天王補心丹」、気虚には「補中益気湯」などが用いられることがあります。
食養生と生活指導としては、「冷え」を避け、「過労」を避け、「過剰な情報」から距離を置くことが勧められます。ゆっくり呼吸し、季節の食材を摂り、夜は早く休む――こうした当たり前のことを丁寧に積み重ねていくことが大切です。

両医学を統合して“治らない”を乗り越える

現代医学は、症状を抑える力や、緊急時の安全性確保には大きな強みがあります。一方、東洋医学は、体質や生活背景に寄り添い、「なぜその人に不調が出たのか」を見極める視点に優れています。

たとえば、「不安が強くて薬がないと眠れない」という人には、薬で一時的に安定させながら、鍼灸や漢方で自律神経を整え、徐々に薬を減らしていくアプローチが有効です。西洋医学が“今”を支え、東洋医学が“これから”の身体を整える――このような統合的アプローチが、真の回復へと導いてくれます。

おわりに

自律神経失調症は、単なるストレスや不安だけで起きるわけではありません。そこには、性格・習慣・環境・気質・生活のズレが積み重なった“全体の乱れ”があるのです。

だからこそ、「薬を飲む」「休む」だけでなく、自分の体質や生活とじっくり向き合うことが回復への第一歩です。
そして、現代医学と東洋医学特に色彩治療という異なる視点を組み合わせることで、「もう治らない」と感じていた不調に、新しい希望が生まれるかもしれません。